インターネットと従来メディアに関する話


はじめに

現代においてネットの持つ力というのはものすごいところがあり、
従来メディアにも大きく影響を与えるものとなっています

テレビはかつて大きく普及して以来当たり前のメディアのような存在として情報媒体をリードしてきました
差し押さえなどでもテレビは生活に関わるものとしてその対象から外れるようですし、
それだけテレビというものは日本の世帯にとって欠かせないものという認識が一般化しているという事だと思います

近年インターネットが普及してきて、テレビにとって無視出来ない存在になったわけです
一人暮らしの学生にはインターネットを引いているからテレビは置いていないという人や、
テレビがあっても点けないという人も珍しくないことのようになったと思います

問題提起

さて、インターネット機器というものは従来メディアに置き換わるもの、情報機器としての上位互換なのでしょうか
今の時代においてインターネットが出来ないというのは出来る環境に対してかなり情報量的なハンデを負うものと思いますので、
インターネット契約をしていなかったり、コンテンツが制限される小型機器でしかインターネットをする事が出来なかったりするというのはかなり手痛いことだと思います
その人たちは情報を集めるうえで弱い立場に立つということは免れ得ず、そういう事をある程度覚悟のうえでそういう環境にしているのだと思います
さてそのような大きな存在となったインターネットに対してテレビや新聞はただの下位互換となってしまったといえるのでしょうか
以下は持論です

テレビをつまらなくしたのはネットであると言えなくない

ネットの与える影響というものは肥大化し、テレビや新聞といった従来のメディアに対しても大きく影響を及ぼすようになりました
放送中に出演者が問題発言をすればネットで大騒ぎになり謝罪への流れになるし、
放送局に対する監視のような目はかなり厳しいものとなっているといえます
ネット住民が従来メディアを監査しているといえば聞こえは良いですが、
そういう監視のような仕組みというよりかは不祥事や問題発言を面白がって非難するという構図になっており、
従来メディアは過敏に批判を恐れ委縮したようになりあたりさわりのないような事をやるように心掛けるようになった面は少なからずあるように思います

自分の違反行為には許容的なネット住民

さらにはネット上には著作権的に問題のあるコンテンツというものも多く存在し、
その中にはテレビ的なものもあります
そのようなコンテンツを根拠として「ネットで見られるからテレビは必要ない」と言うことが出来るのなら
それは権利違反を助長するようなことになると思いますし筋違いだと思います
そのようなテレビが作ったものをネットが盗んだ、それによってネットがテレビにおけるそのコンテンツを面白くなくしたという事がいえると思います
そもそもこれはテレビ番組に関する話だけではありません
大流行した動画共有サイトで完全に投稿者本人に著作権が由来するものだけしかアップされなかったとしたならあれほどのムーヴメントとなり得たでしょうか
見る人は得をするでしょうがこれは自分の得になるならそういうものを許容してしまうからではないでしょうか

テレビや新聞の役割をネットが補完し得るのか

インターネットの特徴は何といってもその情報量の多さにあります
情報量でいえばテレビや新聞ではネットに太刀打ち出来ないでしょうし劣るといっても差支えないでしょう
しかしインターネットにも引け目はあると思います
それは情報の取捨選択が出来過ぎること、です
ネット上に有益な情報や面白いコンテンツがあるとしてもそこに辿り着くことが出来るかどうかというのはその人次第です
「〜出来る」といえば聞こえは良いですが「有害情報に簡単にアクセス出来る」といえばそれが良い事だと限らない事は分かるでしょう
情報量が多くても人が有益な情報を自然と無視するという事もあり得るし有害な情報に触れる可能性だってあるわけです
この辺りインターネットは闇の部分を大きく含んでいるという問題が分かると思います
上で述べたような利用者全体が著作権違反を許容してしまうような状態というのもインターネットのもたらした闇の部分の一つなのではないでしょうか

ネットを見ると人間が悪くなる、のか

よくネットを見ると人間性が悪くなるだとかネットは悪に覆われているだとかいうような記事があって笑われることがあります
そこまで極端な言い方をすることはないと思うもののネットがその人に害を及ぼす可能性は大いにあると思います
有害なものへのアクセスはもちろんですが、
ネットの力を過信して有益な情報を見ずに自分の好きな情報だけを見るのも十分それにあたると思います
何が有益であるのかなどというのは人それぞれであるし趣味の情報を見てもいいとは思いますが、
テレビのニュースや新聞の記事を見れば身につくような時事的知識などもそれらをスルーしてさらにネットでもニュースを見ない、というような事になれば常識は無くなる一方です
少なくとも一番良く見るニュースが2chニュー速系ブログだとかといったような状態になると思考は腐ってくると思います

ネット上の議論と現実の議論は違う

ネット上の議論(議論といえるのかどうかが甚だ疑問である)は、大体が多数派の圧倒的有利であり批判的立場が有利です
さらには流れ的なものがあり少数意見のようなものは暗黙のうちに押しつぶされるような、意見を言えないような形式になっている事が多く見受けられます
大体は多数派や否定派が一方的に意見を叩きつけ、終わります
このような形が現実世界で成り立つのか、といえば疑問なわけです
そもそも実際に話すのとネットを通したコミュニケーションが同質になり得るはずがありません
実際の議論では相手の発言を認めるということも大事ですし発言には責任が伴います
無記名で責任の伴わない発言をするネット上の掲示板とは形式的に大きく異なり言いっ放しのやりたい放題というわけにはいかないと思うのです

マスメディアの表現方法について

最近になってマスメディアの偏向報道や恣意的表現などについてよくいわれるようになりました
しかしそれは最近よくいわれるようになっただけで元々無かったものかといえばあったものだと思うわけです
それがネットに真偽の情報がまみれているが故に人々の意識が高まったといえば良い事ですが、
もともとそういうものが全く無い完全なものとしてのメディアを人々は求めていたのであるかということになると思います
むしろそちらの方が怖いことだと思います
実際ネットに比べるとずっとマスメディアの情報の方がずっと偏りが少なく嘘の情報も少ないとは思いますので、
信頼性であるとかそのようなことでは比較のうえでずっとマスメディアの価値はあると思います
その点については人々が絶対的なものだと思わずにそういう意識をする事に尽きるでしょう

従来メディアの魅力

従来メディアの一番の魅力だと思うのはその情報を得るキッカケを作ってくれるところにあると思います
何となくでもニュースを見ていれば新しい発見があるかもしれないし、
前日のテレビの内容について友人知人との共通の話題が出来るかもしれない
ネットの情報量が莫大でその人任せな体質からは難しいことだと思います
あと企業的な運営であるがゆえにお金がかかっているのも良い事だと思います
何か起こった時に現地から瞬時に情報が入ってくるし、
番組の出演者などはそれを仕事としているわけでそれなりの事をするでしょう
どこかの素人が作った映像物などとは比べるまでもないような規模のものが出来ていると思います

まとめ

つまりどのメディアにも利点欠点があるという事だと思います
少なくともインターネット時代によってテレビや新聞はネットに劣る存在となったとはいえないということは確かだと思います
どのメディアを選択するか、その時点から結局その人に選択が委ねられているわけですが、
最近問題視されるべきなのはインターネットを絶対視するような視点が蔓延している事だと思います
インターネットの規模は大きくなりましたがまだまだテレビや新聞には大きな役割があるでしょう
「インターネットによるテレビ離れ」によって広告収入が激減したり視聴率が下がったりしてどんどんテレビが衰退するような流れになっているのだとしたらそれは非常に悲しい事だと感じます

これからもしばらくは共存する(すべき)ものであり、どちらが上位でどちらが下位だというような質もものではないということを主張して終わりにしたいと思います